若手に「この会社で続けたら何になれるか」を見せられているか
「給料を上げれば辞めない」と考えがちですが、若手が知りたいのはそれだけではありません。この会社で3年、5年と続けた先に、自分がどうなっているのかが見えないことも、辞める理由の一つになります。
この記事の要点
・給与以外に「この先どうなるか」が見えないことも離職の理由になります
・役職や資格取得の目安を、年次ごとにざっくりでも示せるかがポイントです
・特別な制度がなくても、口頭で先の見通しを伝えるだけで効果があります
面接のときは目を輝かせていた若手が、1年もすると表情が曇っていく。給料に不満があるわけでもなさそうなのに、なぜか会社の話をするときの声が小さくなる。心当たりのある経営者は、少なくないはずです。
見通しが見えないと、何が起きるか
若手の採用・定着を考えるとき、給与や休日といった条件面に目が行きがちです。ただ、実際に続けるかどうかを決める材料には、「この先どうなっていくか」という見通しも含まれます。同じ作業を何年続けても給料も役割も変わらないと感じれば、条件に不満がなくても離れていく理由になります。入社時には「未経験からでも育てます」と説明していても、その後の道筋を言葉にできている会社は多くありません。
何も言われないことの不安
3年目で何を任されるのか、資格取得の会社としての支援はあるのか、現場代理人や職長を目指すとしたらどんな順序があるのか。こうした情報がないまま働き続けると、若手は自分の将来を会社の外に探し始めます。本人が悪いわけではなく、見えないものに希望を持ち続けるのが難しいだけです。
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制度がなくても、伝えることはできる
・入社1年目・3年目・5年目あたりで、目安として任せたい作業・役割を大まかに伝える。数字が曖昧でも、方向性が見えるだけで安心感は違います
・資格取得(玉掛け・足場・職長教育など)を会社として支援する場合は、その方針を伝える
・「これができるようになったら、次はこれを任せたい」を、面談や日々の会話の中で言葉にする
伝える機会は特別に作らなくていい
改まった面談の場を用意する必要はありません。現場からの帰りの車の中や、休憩中の何気ない会話の中で「そろそろこれも任せようと思っている」と伝えるだけで十分です。特別な儀式ではなく、日常の延長線上で伝えることの方が、かえって自然に届きます。
評価の場だけでなく、日々の何気ない声かけの積み重ねが、若手にとっての安心材料になります。特別な仕組みより、日常の会話の質を上げることの方が、実は効果的かもしれません。
立派なキャリアパス制度を作る必要はありません。大事なのは、経営者や現場責任者の頭の中にある「将来こうなってほしい」という考えを、本人に伝わる言葉にして渡すことです。何も言われないまま働き続けることが、若手にとって一番の不安材料になります。言葉にする手間を惜しまないことが、一番のコストのかからない定着策です。
