「職人が採れない」の前に、自社の求人票を読み返す
人が足りないとき、多くの経営者がまず求人媒体を増やしたり、日給を上げたりすることを考えます。焦る気持ちはよく分かりますが、その前に一度見てほしいのが、自社の求人票です。今は求人の数が応募者の数より多いので、応募する側は何社も並べて見比べています。読んでも中身がよく分からない求人票は、条件を見る前に飛ばされます。
この記事の要点
・建設業は求職者1人に求人が5件以上。応募者はうちを他社と並べて見ています
・2024年4月から、求人票に書かないといけない項目が増えました
・書き直す欄は5つ。1日の流れ、休み、給料の内訳、最初の1週間、誰と働くか
求人を出しても反応が薄い。担当者はそう感じるたびに、媒体を変えるべきか、日給を上げるべきかと頭を悩ませます。応募がない焦りは、経営者にとって一番落ち着かない時間かもしれません。ただ、結論から言うと、お金をかける前に確認しておきたいことがあります。
1. 求職者1人に求人5件。並べて比べられている
ハローワークの数字で見ると、建設業は求職者1人に対して求人が5件以上あります。全産業だと1件強です。つまり、仕事を探している人は5社の中から選べる状態です。躯体工事のように体力面の負担が大きい職種は、これよりさらに高い倍率になっています。
働いている人の数も減り続けています。ピーク時は685万人ほどでしたが、近年は470万人台まで減っています。年齢構成を見ると、55歳以上が全体の約36〜37%、29歳以下が約12%程度と、他産業より高齢化が進んでいます。若い人材ほど取り合いになっているということです。
数字の整理
出典:厚生労働省「一般職業紹介状況」、総務省「労働力調査」等の公表資料をもとに整理。数値は公表時点によって変動します。
現場に返ってくる形は単純です。応募する側が選べる。だから求人票は「うちの条件を書く紙」ではなく「他社と並べられても読んでもらう紙」になっています。
2. 2024年4月から、求人票に書く項目が増えている
2024年4月から、労働条件の明示ルールが変わり、雇うときに伝えないといけない項目が増えました。これまでは「入ってすぐの業務内容」を書けば足りていましたが、これに加えて「今後の業務の変更範囲」も明示することになっています。有期契約の場合は更新上限の有無や、無期転換の案内も必要です。
専門工事店で特に関わるのは、この「業務の変更範囲」です。現場は都度変わる仕事なので、最初の1現場だけ書いて終わりにはできません。どの範囲まで担当してもらう可能性があるか、書き方を先に整理しておく必要があります。
ここは法律に関わる話なので、自社の求人票が要件を満たしているかは、ハローワークや社会保険労務士に確認してください。この記事では「そういうルールがある」という整理までにとどめています。
こういう困りごと、現場交差点の無料ルームで相談できます
求人票の書き方も、実際に応募が来た会社のやり方を聞くのが早いです。同じ規模の専門工事店が集まっています。
3. 読み返すときの5つの欄
法律で決まっている項目を埋めたうえで、応募が来るかどうかを分けるのが次の5つです。どれも書いていない求人票が多い欄です。
① 1日のタイムライン
集合は何時で、どこか。現場直行・直帰か、事務所に寄るのか。終わりは何時頃か。応募する人がまず知りたいのは、給料より1日の流れです。
② 休みの実態
「週休2日」でも隔週土曜出勤なら実際は違います。4週6休なら、そのまま4週6休と書く方が後で揉めません。
③ 給与の内訳
日給か月給か。雨で現場が飛んだ日はどうなるか。道具・作業着・ガソリン代は誰が出すのか。手取りが計算できる求人票は信用されます。
④ 入ってからの1週間
最初の1週間、誰と組んで何をやるのか。「未経験OK」と書くなら、ここが空欄では意味がありません。
⑤ 誰と働くか
何人の会社で、どんな年齢層の職人がいるか。顔が見えることを条件より先に書けるのは、中小規模だからこそです。
4. 盛った求人票は、入社後3か月で跳ね返る
採れないと、条件を良く見せたくなります。ただ、話と違う条件で入った人は早期に辞めます。辞めた分をまた採る手間を考えると、応募が少し減っても実態に沿った内容を書く方が結果的に負担が少なくなります。
5. まとめ:媒体を増やす前に、1時間で終わること
やることは3つです。今出している求人票を見返す。上の5つで書いていない欄に印をつける。実態に沿った内容を書き足す。媒体にお金をかける前に、1時間で終わります。焦って財布を開く前に、まず手元の求人票を見直してみてください。
