支払いサイトを延ばされたときに、まず確認する書類
「今月は払えない、来月まとめて」。この一言を聞いた瞬間の、あの胃が締め付けられるような感覚を知っている経営者は多いはずです。感情的に食い下がる前に確認すべきものがあります。契約時に交わした書類です。
この記事の要点
・支払い交渉の強さは「言った・言わない」ではなく書面で決まる
・下請代金には下請法という法律上のルールが関わる場合がある
・日頃から注文書のやり取りを残しておくことが一番の備え
資金繰りが厳しい中で入金が遅れると聞かされたとき、頭では冷静にと分かっていても、つい強い口調で問い詰めたくなるものです。ただ、そこで感情をぶつけても、状況はほとんど変わりません。交渉の強さを決めるのは、言葉の強さではなく手元にある書類です。支払いが遅れる・延ばされる相談は、建設業では珍しくありません。まず見るべきは、注文書・注文請書(またはそれに準じる契約書)に、支払期日がどう明記されているかです。
確認すべき3つの書類
・注文書・注文請書(契約書):支払期日・支払方法(現金/手形/サイト)が明記されているか。ここが空欄のままの取引は、実は珍しくありません
・請求書の控えと発行日:いつ請求を出し、相手がいつ受領したか。メールの送信履歴も立派な証拠になります
・工事完了・引渡しを証明できるもの:完了報告書、検収の記録、メールなど。「いつ終わったか」が曖昧だと、支払期日の起算点自体が争いになります
口頭でのやり取りだけで進めている場合、この時点で「そもそも支払期日を明確に取り決めていなかった」ことに気づくケースもあります。
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下請代金の支払いには法律上のルールがある
下請取引(元請から下請への発注)には、下請代金支払遅延等防止法(下請法)という法律が関わってくる場合があります。ごく簡単に言うと、下請代金は「給付を受領した日から60日以内、かつできるだけ短い期間内」に支払うことが原則とされており、これに反する著しい遅延は法律上の問題になり得ます。
適用対象になるかどうか(資本金要件・取引の性質など)は個別の事情によって変わるため、ここでの説明は一般論にとどめます。実際に長期の遅延・不払いが疑われる場合は、下請かけこみ寺(中小企業庁委託の相談窓口)や弁護士・中小企業診断士など専門家に相談することをおすすめします。
書類が揃っていれば、交渉は落ち着いて進められる
感情的な交渉は、証拠が弱いほど不利になりがちです。逆に、支払期日が明記された書面と、引渡しの記録さえ揃っていれば、静かに事実を並べるだけで交渉の立場は大きく変わります。声を荒げる必要はありません。
次からは、契約時に支払いサイトを明記しておく
今回のトラブルを教訓に、次の契約からは支払期日・方法を必ず書面に残す習慣をつけておくと、同じ交渉を繰り返さずに済みます。長年の付き合いだからと口約束で済ませていた相手ほど、一度書面化を提案してみる価値があります。
支払いの遅れは、資金繰りへの不安と同時に、信頼を裏切られたような感情も連れてきます。だからこそ、日頃から注文書のやり取りを残しておくことが、いざというときに自分の心を守る備えにもなります。次に同じ場面が来たとき、慌てずに書類を並べられる自分でいるために。
