見積りの「一式」をやめると、値引き交渉の話が変わる
「もう少し何とかなりませんか」。見積りが「一式 ◯◯円」の1行だけだと、この一言に対して、下げるか断るかの二択しかなくなります。どちらを選んでも、どこかモヤモヤが残る交渉です。
この記事の要点
・「一式」表記は値引き交渉で下げるか断るかの二択になりやすい
・内訳を分けると「何を削れば予算に合うか」という具体的な話ができる
・追加工事の請求や、社内の原価把握にも内訳分けは効く
苦労して積み上げた金額を、一言で「高い」と言われる瞬間は、正直なところ気持ちのいいものではありません。かといって強気に突っぱねれば話が壊れかねない。板挟みの中で、多くの経営者が感覚だけで値引き幅を決めてしまっています。見積書を「工事一式」のようにまとめて出すと、書く側は手間が省けます。しかし、これは値引き交渉の場面で不利に働くことがあります。
『一式』表記が交渉を不利にする理由
相手からすれば、内訳が見えない金額に対して「高い」と感じたときに、どこが高いのかを指摘できません。結果として、感覚的な値引き要求(「1割引いてほしい」)になりやすく、応じるかどうかの判断も感覚頼みになります。
内訳を分けると、会話そのものが変わる
材料費・施工費・諸経費・撤去費のように項目を分けて見積りを作ると、交渉の質が変わります。「予算が厳しい」と言われたときに、「では、この部分の仕様を変えると◯円下がります」「この工程を分けて発注すれば◯円下がります」という、具体的な会話ができるようになるためです。値引きに応じる・応じないの二択ではなく、「何を削れば予算に合うか」という建設的な話し合いに変わります。
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内訳分けにはもう一つの効果がある
・追加工事が発生したときに、変更分だけを明確に請求しやすくなる。一式表記のままだと、追加分の根拠を説明するだけで一苦労です
・相手側の「思っていたより高い」という感覚的な不満が減り、説明で納得してもらいやすくなる
・社内でも、どの工程にどれだけ原価がかかっているかを把握しやすくなり、次回以降の見積り精度が上がる
内訳を分けても、書く手間はそれほど増えない
「内訳を分けると見積り作成が大変になるのでは」と身構える必要はありません。材料費・施工費・諸経費・撤去費の4項目に分けるだけでも十分効果があります。一度テンプレートを作ってしまえば、次からはその型に数字を当てはめるだけです。
すべての見積りを細かく分ける必要はありません。ただ、値引き交渉が起きやすい規模の工事だけでも、主要な項目を分けて書く習慣をつけると、「感覚の値引き」から「条件で合意する値引き」に変えられます。押し切られるでも突っぱねるでもない、第三の選択肢が持てるようになります。次に「もう少し何とかなりませんか」と言われたときの返し方が、きっと変わります。
