職人同士の相性が悪い現場、
人員配置をどう組み替えるか
現場の人間関係がうまくいかない。どちらも仕事はしているのに、一緒にするとどうもうまくいかない。そんなとき、「相性が悪い」で終わらせず、何が噛み合っていないのかを切り分けて考える方法です。
この記事の要点
・「相性が悪い」で終わらせず、具体的に何が噛み合っていないのかを見る必要があります
・本人同士に任せきりにせず、上下関係がある場合は会社が間に入る必要があります
・組み合わせや現場を変えてみることで、原因の切り分けができます
現場の人間関係がうまくいかない。
建設会社をやっていると、どうしても出てくる問題です。
どちらかが明確に仕事をしていないなら、話はまだ分かりやすい。
難しいのは、「どちらも仕事はしている。でも、一緒にするとどうもうまくいかない」というケースです。
片方は「もっと早く動いてほしい」と思っている。
もう片方は「聞いても怒られるから聞きづらい」と感じている。
会社から見れば、どちらか一方だけが悪いとも言い切れない。
こういうとき、人員配置をどう考えるべきなのでしょうか。
「相性が悪い」で片付けない
人間なので、当然相性はあります。
ただ、「この2人は相性が悪いから仕方ない」だけで終わらせると、会社としては何も解決していません。
まず見た方がいいのは、具体的に何が噛み合っていないのかです。
例えば、こんな違いです。
・仕事のスピード
・経験値
・指示の出し方
・質問の仕方
・ミスに対する考え方
・仕事を覚えるスピード
・コミュニケーションの量
同じ「合わない」でも原因はまったく違います。
仕事のスピードが違うだけなら、経験を積めば解決するかもしれません。
指示の出し方に問題があるなら、教える側を変えることで改善するかもしれません。
まずは人間関係の問題ではなく、仕事上どこでズレが起きているのかを見る必要があります。
本人同士だけで解決させない
現場の人間関係について、「大人なんだから本人同士で話してくれ」という対応もあります。
もちろん、それで解決する関係なら問題ありません。
ただ、上下関係がある場合は少し違います。
経験10年の職人と、入って数か月の職人。
職長と、その下についている職人。
こうした関係で、「嫌なら本人に直接言えばいい」と言っても、実際には言えないことがあります。
言ったことで、「文句を言うやつだと思われるんじゃないか」「もっと現場に居づらくなるんじゃないか」と考えるからです。
表面上は普通に仕事をしていても、不満だけが溜まっていくことがあります。
そして会社が気づいたときには、「辞めたいです」まで進んでいる。
そこまで行く前に、会社側が間に入る必要があります。
まず「誰が悪いか」を決めない
人間関係の問題が起きると、「どっちに問題があるのか」を決めたくなります。
ただ、最初から犯人探しをすると判断を間違えやすくなります。
例えば経験者から、「何回教えてもできない」と言われたとします。
一方、本人に聞くと、「一回しか教えてもらっていない」と言う。
こういうことは普通にあります。
どちらかが嘘をついているとは限りません。
教える側にとっては「十分説明した」。
教わる側にとっては「理解できる説明ではなかった」。
単純に認識が違うこともあります。
だから最初に見るべきなのは、誰が悪いかではなく、何が起きているか、です。
人員配置の工夫、無料ルームで話してみませんか
似た問題を経験した経営者の対応が参考になります。
一度、組み合わせを変えてみる
原因が分からないときに有効なのが、人員配置を変えることです。
例えば、Aさん+Bさんで問題が起きているなら、Aさん+Cさん、Bさん+Dさんのように組み合わせを変えてみる。
そこでBさんが問題なく仕事をするのであれば、Bさん自身の能力だけが原因ではなかった可能性が高くなります。
逆に、誰と組ませても同じ問題が起きるのであれば、本人の仕事の進め方や技術面を見直す必要があるかもしれません。
教える側についても同じです。
複数の人が、「質問しづらい」「萎縮してしまう」「一緒に仕事をするのがきつい」と感じているのであれば、個人同士の相性だけでは説明できなくなります。
配置変更は単なる逃げではなく、問題の原因を切り分ける方法にもなります。
別の現場で評価するという考え方
一つの現場で評価が悪かったからといって、その人の評価を確定させる必要はありません。
現場が変われば、仕事内容も、元請も、一緒に働く人も、求められる役割も変わります。
特に経験の浅い職人は環境の影響を受けやすいです。
ある現場では全然動けなかった人が、別の現場では普通に仕事をすることもあります。
だから、「この現場でダメだった」ことと「この人がダメ」なことは分けて考える。
一度別の環境に置いて、それでも同じ問題が起きるのかを見る。
人を評価するときには、この一手間がかなり重要です。
3人体制なら「3人のバランス」で考える
例えば3人体制の現場を考えてみます。
一番経験のあるAさん、ある程度仕事ができるBさん、経験の浅いCさんがいるとします。
単純に考えれば、A → B → Cという順番で教えていく形になります。
ただ、Aさんが技術的には優秀でも、人に教えるのが得意ではない場合があります。
その場合、次のような配置の方がうまくいくこともあります。
・Aは難しい作業・技術面を担当する
・BはCをフォローしながら現場全体を見る
・CはBの下で経験を積む
「一番仕事ができる人を一番上に置く」だけではなく、誰が誰をフォローするのかまで設計する。
人数が少ない現場ほど、この考え方が重要になります。
すぐに人を外すことにもリスクがある
一方で、「合わないならすぐ別現場へ」を繰り返すのも問題です。
本人同士が改善する機会がなくなるからです。
少し注意されただけで配置変更、少し不満が出ただけで配置変更。これを続けていると、会社側が永遠に人間関係を調整することになります。
だから、改善できる問題なのか、配置を変えた方がいい問題なのかは分けた方がいい。
例えば、伝え方を少し変えれば解決する、役割を明確にすれば解決する、本人同士で認識を合わせれば解決する。この程度なら、まず改善を試す。
一方で、萎縮して質問できない、自信を失っている、現場に行くこと自体が苦痛になっている、安全面に影響が出ている。ここまで来ているなら、配置変更を検討する。
人間関係を改善することより、現場を正常に回すことの方が優先です。
元請への説明は「社内事情」を全部話す必要はない
人員配置を変えると、元請への説明が必要になることがあります。
ここで、「AとBの仲が悪くて……」「本人が精神的にきついと言っていて……」と社内事情をすべて説明する必要はありません。
元請が知りたいのは基本的に、現場が問題なく回るのか、です。
誰が入るのか、必要な人数は確保できるのか、工程に影響はないのか、施工品質に問題はないのか。
まず説明すべきなのはそこです。
社内の人間関係まで必要以上に外へ出すと、本人の評価にも影響する可能性があります。
社内で処理する問題と、元請に説明する問題は分けて考えた方がいいでしょう。
人員配置は「評価」ではなく「調整」
配置を変えると、「現場から外された」「自分は評価されていない」と本人が受け取ることがあります。
だから伝え方も重要です。
配置変更は必ずしも降格ではありません。
別の現場で経験を積ませたい、違う人と組ませてみたい、得意な仕事を任せたい、新しい体制を試したい。会社側にはいろいろな理由があります。
人員配置は、できる人とできない人を振り分ける作業ではなく、会社全体が一番動きやすい組み合わせを探す作業と考えた方がいいと思います。
まとめ
職人同士の人間関係がうまくいかないとき、「相性が悪い」だけで終わらせるのは簡単です。
ただ、会社として見るなら、何が噛み合っていないのか、本人の能力の問題なのか、教え方の問題なのか、組み合わせの問題なのか、現場そのものが合っていないのか。一つずつ切り分けて考える必要があります。
そして分からないのであれば、一度、配置を変えてみる、別の人と組ませる、別の現場に入れる、役割を変える。そこでどう動くのかを見る。
一つの現場、一つの人間関係だけで、その職人の評価を決める必要はありません。
人が少ない建設会社ほど、「誰を採用するか」と同じくらい「誰と誰を組ませるか」が重要です。
人員配置も、現場を回すための仕事の一つです。
